CVDSim3D

気相からの結晶成長3次元解析

3D modeling of chemical vapor deposition

製品概要

CVDSim3Dは、CVD法エピタキシャル成膜におけるリアクター設計やプロセスレシピの最適化をサポートするための熱流体解析ベースの3次元シミュレーションソフトウェアです。
プロセスエンジニアや開発者が、以下のような課題を解決するためにご利用できます。

  • 基板上の成膜速度やドーピング濃度分布均一性の向上
  • プロセス条件やリアクター構造の最適化
  • 実験的に測定することが難しい温度、流速、化学種濃度分布の予測
図1. 3次元リアクターモデル形状と温度分布
図2. 化学種濃度分布

製品特徴

対応可能な成膜種および成長方法

CVDSim3Dは、以下の成膜種および成長方法に対応しています。

  • シリコン (Si) :CVD法
  • シリコンゲルマニウム (SiGe) :CVD法
  • シリコンカーバイド (SiC) :CVD法
  • 窒化物材料 (GaN, AlN, InN, AlGaN, AlInNなどの混晶) :MOCVD法

ソフトウェアの主な機能

グラフィカルユーザーインターフェース (GUI)

  • モデル形状作製、メッシュ作製、計算条件設定、計算実行、計算結果の可視化作業を一つの統合されたGUI内で実行可能
  • 解析全体をスムーズに行うことができる操作環境
  • WindowsおよびLinux OSの両方に対応

データのインポート/エクスポート機能

  • 外部CADソフトウェアで作製した形状データを読み込み可能
  • 外部可視化ソフトウェア用の結果データの出力
図3. GUI:形状作成画面
図4. GUI:グリッド表示画面

主な物理モデル

熱輸送モデル

  • 熱伝導、対流伝熱、輻射を考慮した熱輸送
  • 抵抗加熱と誘導加熱 (RF加熱)
  • 電磁場解析によるジュール熱を考慮した加熱プロセスのモデリング

ヒーターパワーフィッティング

  • ターゲット温度に対するヒーターパワーのPID制御によるフィッティング機能

流体/多成分拡散モデル

  • 流速分布や対流パターン (流速ベクトル) を詳細に解析
  • 層流および乱流の考慮
  • 気相中化学種の拡散 (分子拡散、熱拡散) と移流の考慮

成膜種に応じた化学反応モデル

  • 気相反応と表面反応に基づく詳細な反応メカニズムを内蔵
  • 気相中での粒子生成
  • ドーピングモデルによるドーピング濃度分布の解析

解析事例

CVDSim3DによるCVD法Siエピタキシャル成膜プロセスの解析

CVDSim3Dは、CVD法によるSiエピキシャル成膜プロセスにおける温度分布、ガス流れ、化学反応を詳細に解析し、CVD法Siエピタキシャル成長プロセスの効率化や成膜速度均一性向上のために利用することができます。ランプ加熱型のプロセスでは、放射熱の反射や屈折、半透明媒体による吸収など複雑な熱輸送現象を高精度にモデル化することで、基板上の温度分布を高精度に予測することができます。
また、クロロシラン(DCS、TCS、STC)を原料としたSi成膜の化学反応モデルを使用することで、単結晶および多結晶Siの成膜プロセスを解析し、膜厚やドーピング均一性を向上させるための最適な条件を探索することができます。
商業用リアクター構造およびプロセスの改善だけでなく、新しいリアクターやプロセスの開発にも活用することができます。

図5. ランプ加熱型リアクター内の温度分布
図6. 基板のSi成膜速度分布

CVDSim3DによるCVD法SiCエピタキシャル成膜プロセスの解析

CVD法によるSiC成膜プロセスの解析において、CVDSim3D は詳細な3次元解析機能を通じて、リアクター設計やプロセス最適化を支援する強力なツールとなります。CVDSim3Dは、温度分布、ガス流れ、気相反応(粒子形成を含む)、寄生成長、基板上のエピタキシャル成長、およびドーピングプロセスのシミュレーションを可能にし、プロセスの高精度な設計と最適化を実現します。

CVDSim3Dは、SiCのエピタキシャル成長に対応した化学モデルを内蔵しており、さまざまな原料と条件下でのプロセスを解析できます。
例えば、C3H8 (プロパン) とSiH4 (シラン) を原料とするプロセスでは、Si粒子の生成や再蒸発を考慮しつつ、Clフリー雰囲気やHCl添加条件、さらにSiCl4やTCS、DCS、MTS (CH3SiCl3) などを用いた成膜プロセスを詳細に解析できます。
また、ドーピングに関しては、TMAlを用いたアルミニウムドーピングや、N2やNH3を用いた窒素ドーピング、さらには両者の共ドーピングプロセスにも対応しています。

CVDSim3Dを使用することで、膜厚均一性、ドーピング濃度均一性、原料の利用効率向上を目指したプロセス条件の最適化が可能です。
また、寄生成長の抑制やリアクターの設計改良、さらにプロセスのスケールアップなどにも活用することができます。
CVDSim3Dは、SiC成膜プロセスの設計や開発を加速させ、研究や産業用途における新技術の開発やSiCエピ膜の高品質化に大きく貢献することが期待されます。

図7. 横型RF加熱津リアクター3Dモデル
図8. 基板および周辺壁上のSiC成膜速度分布
図9. 3次元リアクター形状と化学種 (DCS) 濃度分布
図10. 基板上の成長速度分布(回転平均)

CVDSim3DによるMOCVD法窒化物エピタキシャル成膜プロセスの解析

MOCVD法による窒化物 (GaN, AlN, InNおよびそれらの混晶) の成膜プロセスにおいて、CVDSim3D は高度な3次元解析機能を活用して、成膜プロセスの設計と最適化を支援します。
CVDSim3Dは、温度分布、ガス流れ、気相反応 (前駆体分解および粒子形成を含む) 、エピタキシャル成長、およびドーピングプロセスの詳細なシミュレーションを可能にし、膜厚均一性や成長効率性を向上させます。

CVDSim3Dは、GaN, AlN, InNの単結晶成長およびそれらの混晶 (AlGaN, InGaN, InAlNなど) の成長を対象とする化学モデルを内蔵しています。
特に、主要な前駆体であるトリメチルガリウム (TMGa) 、トリメチルアルミニウム (TMAl) 、トリメチルインジウム (TMIn) やアンモニア (NH3) の分解反応、および生成した中間体の表面反応を詳細にモデリング可能です。
これにより、成膜速度、混晶組成均一性、ドーピング均一性を最適化するための条件を探索できます。

図11. プラネタリー型リアクター3Dモデルと
温度分布
図12. 基板上の成膜速度分布 (回転平均)